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節約・倹約的な考えにも便利かも?期待値で考えるクセを付けることの重要性

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以前読んだ「ファスト&スロー」の下巻を読みました。
おもにプロスペクト理論→運要素の強いギャンブルの「当たり・ハズレ」を数字で考えていく方法が書かれた書籍です。
期待値(どのくらいの確率で利益が出るか?または損をするか?)の計算の解説が日常生活でも使えそうでした。

適正なリスクを取ると「ソン」をするより「トク」をする確率が上がります。

書籍は相変わらず読みにくいので(翻訳のせい?)、私が読んでおもしろかった部分、ためになった部分をなるべく分かりやすく紹介します(^^)

この記事で紹介すること

・ギャンブル的な考えである「プロスペクト理論」とは何か?(かんたん紹介)
・勝ち負けの「平均値=期待値」とは何か?計算方法は?
・保険などリスクを減らすための商品に期待値を上回る金額を払う心理
・行動→悪い結果になった場合、行動せず→悪い結果になった場合の後悔度合いは?
・その他、個人的に面白かったエピソードの紹介

ファスト&スロー上巻の書評↓

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目次

ギャンブル的な考えである「プロスペクト理論」とは何か?(かんたんに紹介)

プロスペクト理論とは、不確実性下における人間の意思決定モデルの一つです。
プロスペクトという言葉は「予想・期待」という意味です。
自分の選択の結果に得る利益や損失、確率が既知の状況において、人がどのような意思決定を行うかをモデル化したものです。

BOXILサイトより

https://boxil.jp/mag/a3061/

有名な例ですが‥
A:トクする場合
①50%の確率で1000円もらえるが、50%の確率で何ももらえない
②確実に450円もらえる
この例だと②の確実な利得をえらぶ人が多い。

B:ソンする場合
①50%の確率で1000円失うが、50%の確率で何も失わない
②確実に450円失う
今度は①の損失回避をえらぶ人が増える。

利益は確実に取りたいが、損失は何としても回避したいという人の行動・心理が「プロスペクト理論」です。

余談:失うものがない人(無敵の人)はギャンブルに走る

プロスペクト理論は、
・どうやっても得をする場合→保守的になる(多少損をしても確実な方を選ぶ)
・どうやっても損をする場合→リスク追求的になる(ギャンブルに走る、一発逆転を狙う)
・・という法則です。

リスキーな行動に走る人‥どこかで聞いたことがあるなと思っていたら「失うものがない人・無敵の人」のことでした。
つまり、現在まで歴史に残る犯罪を犯した人々は、「どうやっても上手く行かない(損をする)→リスク追求的」になっている可能性が高いということ。
・無職
・家族なし
・お金なし
・相談できる人もいない
・・失うものがない人を増やさないために福祉が充実しているんだなぁと、改めて理解しました。

勝ち負けの平均値=「期待値」とは何か?

期待値とは‥

1回の試行で得られる値の平均値のことで、得られうるすべての値とそれが起こる確率の積を足し合わせたものです。

BellCurve統計WEBサイトより

https://bellcurve.jp/statistics/course/6349.html

計算方法の例↓

・コインの裏表が出る確率はそれぞれ50%
・上記を1回しか行わない場合
1000円×1/2+(-500円)×1/2=250円
期待値は250円ということになります。
※100回やった時の期待値は25000円

上記のコイン投げを100回やった場合、確実に25000円もらえるわけではありませんが、25000円に限りなく近い結果になるのが期待値。

多くの場合、直感は信用できないことが多いので統計的に考えよう!

一定の規則性が存在しない状況では、直感は信用できない。

ファスト&スロー下巻より

多くの場合、人間は楽観的で、過剰な自信を持ちやすいそうです。
なので、感情論ではなく、論理的(統計や期待値)を使って考えようという内容が書籍に書かれています。

たとえば、あなたが面接官だとして、より良い人材を採用(選ぶことが)できますか?
優秀なデザイナーを雇いたい場合‥
応募してきた人物A:ポートフォリオはまぁまぁで、人当たりが良さそうである(後になって顧客ファーストのデザイナーではないと分かる)
応募してきた人物B:人当たりが良くなさそうだが、ポートフォリオが素晴らしい(後になって顧客ファーストのデザイナーであることが分かる)
会社はチームで動くものなので人当たりも重要ですが、デザイナーとして1番大きいウエイトを占めているのは、やはり「デザイン力」「顧客の要望をうまく汲み取れるか?」です。

書籍では、人間はすべてを総合的に集計して、合理的に選ぶことが難しいと言っています。
上記の例だと、採用者は自分の直感や過去の経験(内部情報)を信用しやすいので、人物Aを選んでしまうことが多い。
応募者のポートフォリオや実績など(外部情報)は、かんたんに無視してしまう。

統計学についてはファスト&スロー上巻に詳しく書かれていました↓

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「失う痛み」と「得る喜び」は、同じ重みではない

100ドル失うのと同じ確率で最低何ドルもらえるなら、自分はこのギャンブルに応じるだろうか?
多くの人の場合、答えは約200ドルである。
つまり、損失の2倍の利得が見込めないとギャンブルには乗らない
多くの実験の結果、損失回避倍率は、おおむね1.5~2.5であることがわかった。

ファスト&スロー下巻より

失う方が痛みが強い。
恋愛系のマンガやアニメの台詞とかにもよくありますが、「こんなに辛い思いをするなら出会わなければ良かった‥」という状況も同じ原理なのかもしれませんね(^^;)

「影響力の武器」という良書にも面白い例が書かれています。
たとえば、あなたがはるか昔の人間で、狩りや農業で自給自足している場合、収穫が増えることは喜ばしいが、収穫が減ることは命にかかわると考える。
だから、失うことには敏感にできている‥というような内容でした。
損失に敏感なのは、遺伝子に刻まれているのかもしれませんね(^^;)

話が変わりますが‥
相手に報復される可能性がある状況で「中途半端に手を差し伸べる行為」は危険と言わざるを得ない。
散々、依存させてから取り上げる行為ほど残酷なものはない(復讐系マンガの話でありましたが)。

冷酷かもしれないけど、「見捨てる」か「最後まで見捨てない」かの2択か‥

さらに、不公正な行為を目にすると、無関係な人まで報復に参加することが実験で確かめられているそうです。
利他的な報復では、脳内の快楽にかかわる部分が活性化するという。
いじめをネットに晒し情報を得た人々が一緒に報復したり、ブラック会社のブラックぶりを晒して一緒に非難する行為も同じですね。
一方で人間の脳は、他人への寛大な振る舞いが快楽をもたらすようには設計されていないそうです。
(ちょっとした地獄絵図ですね‥)

ちなみに、「賃金」や「商品価格」にもプロスペクト理論が適応されています。
・一度上がった賃金を引き下げる場合、労働者からの反発が強い
・公共料金や商品の価格、税金が上がると、国民から猛反発が起きる

最近の物価上昇と国民の反応をみていると、納得せざるを得ないですね‥

あと、保有効果のことも書かれていました。
たとえば、あなたは切手コレクターだとします。
長年保有していたプレミアが付いた切手を評価額と同等では売り渡さない可能性が高い。2倍以上の値でしぶしぶ売り渡す。

これは保有してたから(失う痛みを伴うから)だとされていました。
ただ、自分はトレーダー(売り買いする人)だと考えると、失う痛みが和らぐとも書かれています。

【値下げが良くない理由】自分が定価で買った商品が、すぐに値下げされた時の購入者の反応

よく聞く、商品やサービスを「値下げ」してはいけない理由が書かれています。

自分が最近買ったばかりの商品が値下げされたことを知った消費者は、その店からの将来の購入を15%減らした
すると店主にとっては、顧客1人当たり90ドルの損失となった。

顧客は値下げ後の価格を参照点とみなし、以前に高い値段で買ってしまったために不当な損を被ったと考えるからだ。
しかもとりわけ強く反応するのは、高値のときにどっさり買い込んだお客である。
こうしたお客を失うことは、安値になってから購入量を増やすお客から得られる利益を帳消しにし、むしろ差し引きでマイナスにするだろう。

ファスト&スロー下巻より

前述している「失う(値上げ)の痛み」のせいで、「今後値上げしにくくなるのからかな?」と思っていましたが、ちょっと違いましたね(^^;)

定価で買ってくれる良客(?)を逃してしまうことだったのか

しかし、自分が消費者だとしたら、「値下げ時期の読みが甘かったなぁ‥」となるので、今後その店に行かないとはならなそうですけど‥(^^;)←トレーダー思考だからなのかな?

ほぼ「損」をする保険商品に手を出す理由

利得でも損失でも「0%から5%に上がるのと、95%から100%に上がるのは、感覚的にはかなりの重みが付く」
0だった可能性がほんの少しアップし、確実性がアップするため。

リスクをすっかり無くせるものなら、期待値を大幅に上回る金額を払っても良いと感じる。
小さな確率に過大な重みを付ける結果、ギャンブルや保険商品が一段と魅力的になる。
・・みたいなことが書かれていました。

さらに危険や不安を感じたとき、この危険や不安の度合いが重みつけに反映される
不安をなくすためには、リスクの軽減や緩和では効果がない、発生確率を0にする必要がある。

保険屋や投資詐欺の常套句(じょうとうく)として使われている「元本保証=リスク0」のことだね

【低リスク】自爆テロが起きるの可能性を考える

書籍の著者が実際に経験した例が書かれていました。

・当時、著者が何度か訪れていたイスラエルではバスの自爆テロが多発していた
・ただし、絶対値でみれば極めて稀(まれ)
・しかし、イスラエル市民や著者はそう思っていなかった
・バスに乗る頻度を減らし、やむ得ず乗る場合、怪しげな荷物や乗客がいないかチェックする
・著者が車に乗っていて信号待ちをしているとき、バスが近くにいるとソワソワと落ち着かなくなった
・信号が青になると猛スピードでバスから離れるようにしていた

統計学を学んでいた著者は、自分の行動が恥ずかしくなったと言っていました。
無視できるリスクを無視できなかったと。

バスの近くに止まって爆弾のことを連想するのが、とにかく落ち着かない。
テロがなぜ有効か、なぜあれほど効果があるのかを雄弁に物語っている。
テロは連想の連鎖を引き起こす
痛ましくも鮮明な死者や負傷者のイメージが日々報道や会話によって絶えず増幅され、広く身近な取り出しやすい情報となる。
自分では制御できない「防衛行動をとりたい」という衝動に駆られてしまう。
・・という内容が書かれていました。

テロとは違いますが‥商品を売るために多くの人が訪れる場所やコンテンツに広告を出しまくるのも有効という事ですね

余談‥利得の場合でも起きる確率が低いことに過大な重みを付ける例が簡単に紹介されています。
宝くじに高額当選する確率は交通事故にあう確率より低いと言われていますが、確率が0%でない場合は、どうしても気になってしまうものです(^^;)

裁判や調停で考える「損失」と「利得」に対する4つの行動パターン

書籍では「裁判」や「調停」の話がされていました。
登場人物は民事訴訟中の「原告」と「被告」、どのパターンも和解の可能性を模索している。
※ただし、原告と被告の立場の強さが異なる

損得・可能性それぞれのパターンを4分割し、原告と被告の審理を表したもの↓

利得損失
高い確率
確実性の効果
パターン①の原告
・95%の確率で1万ドルもらえる
・万一の落胆を恐れる
・リスク回避
・不利な調停案も受け入れる
パターン②の被告
・95%の確率で1万ドル失う
・なんとか損を防ぎたい
・リスク追求的
・有利な調停案も却下する
低い確率
可能性の効果
パターン③の原告
・5%の確率で1万ドルもらえる
・大きな利得を夢見る
・リスク追求的
・有利な調停案も却下する
パターン④の被告
・5%の確率で1万ドル失う
・大きな損を恐れる
・リスク回避的
・不利な調停案も受け入れる
ファスト&スロー下巻より引用

パターン①:あなたが原告で立場が強い場合

・あなたは民事訴訟の原告で、損害賠償を被告に請求している
・弁護士の意見によると、勝訴の可能性は95%ある
・ただし、弁護士がいうには「実際にどうなるかは判決が出るまでわからない」
・なので、弁護士は和解をすすめている
・和解金は請求額の約90%ほど(結構な額)
・この場合、敗訴して賠償金を取り損ねる可能性があるので、確実な和解の方を選ぶことが多い
・つまりリスク回避的になる

パターン②:あなたが被告で立場が弱い場合

・前述している訴訟の被告の立場
・敗訴する確率が95%だが、勝訴する可能性もわずかにある
・原告側の弁護士は賠償額の90%で手を打つと言っているが、それ以上、金額が下がることはない
・賠償額の90%の金額を払うのは、敗訴した場合とたいした変わらないと考える
・不利な調停案を受け入れるくらいなら賭けに出ようと考える
リスク回避的な原告と、リスク追求的な被告が和解交渉に臨むと、被告の方が強気に出る
・そして、和解金額には被告の強い交渉力が反映され、原告は訴訟の統計的な結果を下回る額で手を打つことになる

ちなみに、実験研究以外の実際に行われた民事訴訟の調停の分析でも裏付けられたそうです。

書籍にも散々書かれているけど、利得より損失は何としても回避したいという気持ちの強さだよね

パターン③④:「嫌がらせ?」被告が強い立場、原告が弱い立場の場合

・原告がさしたる根拠もなく巨額の請求をする「嫌がらせ」の訴訟
・原告が敗訴、被告が勝訴する確率高い(原告、被告どちらもそれを承知している)
・調停をしたら原告は請求額のほんの一部しか受け取れない
・わずかな勝訴に過大な重みが付けられるので、原告は強気で攻撃的
・被告は小さい敗訴の可能性(大損害)に過大な重みを付けて、適当な金額で和解しようとする
ほとんどあり得ない不利な判決に対して、多額の保険をかけるようなもの
・被告は、統計学的に予測される以上の和解金をせしめることになる

長い目で見れば、期待値からの乖離(かいり)は高いものにつきかねない

ファスト&スロー下巻より

余談ですが‥「期待値から外れた判断は損をする」という分かりやすい例も紹介されていました。

・ニューヨーク市のような大きな組織の場合
・毎年200件の「嫌がらせ」訴訟に直面
・どの訴訟でも5%の確率で100万ドルの損を被るとする
・さらにどの件でも10万ドルで和解しうると仮定
・市当局はどの件でも、「和解か」「法廷闘争か」選ぶことができる
※話をわかりやすくするために訴訟費用は考えないとする

期待値からの結果なので、確実なものではないが‥
A:200件すべてについて法廷闘争を選ぶ場合→10件で負けて総額1000万ドルを支払うことになる
B:200件すべてについて和解を選ぶ場合→総額2000万ドル払うことになる

長期的な視点から検討したら、確率の低い巨額損失を避けるために余計なお金を払うのは、結局コストが高く付くことがわかる。

某お金のチャンネルで、(自動車・火災保険など損害以外の)保険は不要!と言われている理由ですね‥

損害保険は別として、生命保険・その他の保険は期待値から乖離しているということね

期待値から乖離は、長期的に見れば代償が大きい。
リスクを追求する場合も、リスクを回避する場合も期待値から大きく外れた選択をしてしまうと、長期目線で損をしてしまうとまとめられています。

まぁ、保険は損得というより「不安を減らす」という側面が強いですしね‥(^^;)

行動→悪い結果になった場合と、何もしない→悪い結果になった場合の後悔度はどちらが大きいか?

<悪い結果の場合>
A:行動して悪い結果になった
B:行動しないで悪い結果になった
・・では後悔の度合いが違うと指摘されていました。
・行動して悪い結果になった例
いつもなら無視するが、ヒッチハイカーを車に乗せたら、車内の物品が盗まれた→ヒッチハイカーなんか乗せなければ良かった(;_:)と激しく後悔する
・行動せずに(いつもと同じ行動で)悪い結果になった例
普通に車を運転していたら事故った

<良い結果の場合>
A:行動して良い結果になった
B:行動しないで良い結果になった
・・の場合、行動して良い結果になった方が喜びが大きい。
例:ギャンブルをして勝った時のお金と、何もしないで得たお金ではギャンブルをして得たお金の方がうれしい

どちらのパターンにも身に覚えがありますね(^^;)
現状維持を好んで、変わったこと(挑戦など)ができない心理にも似たところがあるのかもしれません。

書籍では、現状維持・いつもの行動は「デフォルト」と言われていました。

①「デフォルトの行動」と「デフォルトから乖離(かいり)した行動」の違いである
②デフォルトから離れると、デフォルトが自分の中で容易にイメージされる
③デフォルトから離れた行動をとって、悪い結果が出た場合には、ひどく苦痛を味わうことになる
デフォルトから乖離した行動を取って、悪い結果になった場合、周囲からの非難も大きくなる

④の例も結構目にします。
たとえば、いつもなら人気のない夜道を1人で歩かない女性が、たまたま1人で歩いて事件に巻き込まれる→「なぜ、女性1人で夜道を歩いたのか?」と世間は非難する‥ようなパターン

後悔を予防する方法は2つのシナリオを事前に考えること

後悔を予防するには「悪いシナリオ」と「良いシナリオ」の両方を自分で考えておくこと。
悪い結果になったとき、自分は決定する前にちゃんとその可能性を考えておいたのだと思い出すことで、あまり後悔に苛まれずに済む

・比較すれば全体像が見えてくる
・何が大事なのか(本質)も見えてくる
・これは「並列評価」と「単独評価」の違い

たとえば、引越し業者を頼むときなども1社だけを検討するのではなく、色んな会社と「相見積もり」をすることで「品質」「料金」の比較ができて、より良い選択・交渉ができます(^^)

こちらの書籍にも比較することで、より良い選択ができることが書かれていました↓

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余談:「損失」と「費用」書き方で受け取る印象が変わる

・クジの代金が500円
・表が出れば1000円もらえるが、裏が出れば何ももらえない(=500円損する)

「損失」「失う」という言葉は、「費用」という言葉より強い嫌悪感をかき立てる。
どちらも500円の損失が出る可能性があるのに、クジ=費用と書くだけで、ギャンブルをする人が増えるのが不思議ですよね(^^;)

上記を「架空の掛け捨てガン保険」にも当てはめてみましょう(損するか?得するか?)。
①:毎月の保険料が3000円です
書き方を変えてみる→毎月3000円確実に失います
②:このガン保険は入院費・治療費すべてをカバーします
書き方を変えてみる→ガンになれば払い込んだお金がお得になる可能性がありますが、ガンにならなければ少額の税金控除が受けられるだけで確実に損失になります
※当たれば得する可能性があるが、ハズレれば確実に損をする

内容の「本質」は同じですが、書き方を変えた場合、加入者は激減するでしょう。

もう1つおもしろい例が紹介されていました。
ガソリンスタンドで「現金払いの客」と「クレジットカード払いの客」とで料金設定を変えるべきか?という問題を議論したときの様子

・クレジットカード擁護者は、支払い方法によって料金設定を変えるのは違法だと強く主張した
・その上で、やむを得ない場合の譲歩案としてクレジットカード割増ではなく、現金割引と表示すべきだと述べた
・人間は割増を払うより、割引を容認する方がたやすい
・両者は経済学的には同じだとしても、感情的には同じではない
・人間の判断は事実よりも「言葉づかい」や「表現」に左右される


ちなみに、問題の掲示の仕方が、考えや選好に不合理な影響をおよぼす現象はフレーミング効果と名付けられています。

自身も広告やコピーライティングを少し勉強しましたが、広告業界やコピーライターが「損・損失・失う」という言葉を効果的に使う理由が分かりますね(^^;)

「最大値」と「最後」が印象に残る理由~ピークエンドの法則

書籍には、一般的には不快な検査である「内視鏡検査≒胃カメラ」を受けた患者の感想が書かれていました。
記憶に基づく評価は、ピーク時(最大値)と終了時の苦痛の平均でほとんど決まるとされています。
検査の持続時間は苦痛の感じ方の評価には、ほとんど影響をおよぼさない。

患者Aの場合:(8+6)÷2=7の苦痛
患者Bの場合:(8+1)÷2=4.5の苦痛

・検査時間が短かったにもかかわらず、患者Aの方が苦痛に感じた記憶が残る
・ピーク時と最後が不快だと、内視鏡検査はイヤな記憶として残る

自身は内視鏡検査を受けたことがありませんが、検査時間が長い方がイヤな記憶が残りそうなのに不思議ですね‥

逆に、イヤな時間が継続しても「ピーク時」と「最後」に良いことが起きれば、良い思い出として記憶されるということ。

余談ですが、文章も「導入」と「最後」が重要だと耳がタコになるくらい言われていますしね‥(^^;)

ほか、個人的に印象に残っているエピソードをかんたんに紹介

・実際に経験することで情報を集める力が強まる(カラーバス効果)
・極度の貧困は、生活における他の影響を増幅して経験させる働きをする
・経済学としての合理的とは「一貫性」があるかどうか

<実際に経験することで情報を集める力が強まる(カラーバス効果)>

カラーバス効果とは、1つのことに集中すると、無意識にその情報を集める現象のこと。
例:仕事中にデザインのアイデア出しをして中途半端にする、その後、家でくつろいでいる時にパッと良いアイデアが浮かんで来るなど

バイオリンの練習に1時間費やしたら、その後、何年間も音楽を演奏したり、鑑賞したりする経験の価値が高まる‥という分かりやすい例が書かれていました。

知識として知っているのと、実際に経験するのとでは見える景色が違う‥なんて言われるくらいだしね

こちら↓の書籍にも書かれていましたが、歴史アニメ・ゲーム・マンガで前提知識(多少の脚色ふくむ)があるから、お堅い歴史書を読んでも楽しめますよね(^^)

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<極度の貧困は、生活における他の影響を増幅して経験させる働きをする>

とりわけ病気や体調不良は非常に貧しい人にとって、それほどでもない人よりもはるかに重大な影響を及ぼす。
頭痛がした場合、不安を感じる人の割合は、所得分布の上位2/3では19%から38%に増えるのに対し、
最貧困層では38%から70%へと大幅に増える。
元々の基準値が高い上に、増え方も大きい。

最貧困層とそうでない人々との違いが最も大きかったのは、離婚の影響と孤独感。
さらに週末が幸福感におよぼすプラスの影響は、最貧困層では他の層に比べて大幅に小さかった。

最貧困層は、幸運を見逃しやすく、不運を見つけやすいということかな?

<経済学としての合理的とは「一貫性」があるかどうか>

合理的という言葉はもっと熟考や計算のイメージが強く、温かみに欠けるイメージを持つ人が多い。

経済学者、意思決定理論の研究者にとっては、合理的という形容詞は全く違う意味を持つそうです。
合理的であるかどうかを決める唯一の基準は、その人の考えや好みがまともかどうかではなく、その人の中で一貫性があるかどうかということなのである。

前の方で紹介しているガン保険の例が分かりやすいと思います。

①:毎月の保険料が3000円です
書き方を変えてみる→毎月3000円確実に失います
②:ガン保険は入院費・治療費すべてカバーします
書き方を変えてみる→ガンになれば払い込んだお金分がお得になる可能性がありますが、ガンにならなければ少額の税金控除が受けれらるだけで、確実に損失になります
※当たれば得する可能性があるが、ハズレれば確実に損をする

本質的な内容が同じで、合理的(一貫性がある)であれば、どちらの書き方をされていても、「このガン保険に加入しますか?」の質問にYESまたはNOと同じ答えになるはず。

書き方を変えられたら、答えが変わるのは合理的ではない‥というのが経済学の「合理的」の意味。

合理的であるには、「本質」を見抜く目が必要ってことですね

世の中には、あの手この手で書き方を変えている広告や説明文があるので、得を増やして損を減らすために「本質」を見抜く目を皆さんも鍛えましょう(^^)
「本質」を見抜くために個人的にオススメな方法は、
①たくさん良書を読む
②得たノウハウを自分で試す
③要点をまとめて人にわかりやすく説明したり、教えること
・・この3ステップです。

上記のやり方とは違いますが‥
知識のない状態からやってみる→失敗→必要なノウハウだけ集める(カラーバス効果を利用)のも効果的です(^^)むしろ私はこっちかも?

まとめ:「期待値」の考え方が生きていく上で役立つ

・期待値から外れた判断をすると、長期目線で損をする
・損失は利得の喜びの2倍の痛みをともなう
・いつもと違った行動の有無で、結果の後悔度、喜び度合いが変わる
・「損失」と書く方が「費用」と書くより嫌悪感が高まる
・ピーク時と終わりの印象で記憶が変化≒ピークエンドの法則
・合理的であるためには「本質」を見抜く目が必要

書籍は読みにくいですが、概要をつかめれば、人生の武器になりそうなエピソードがてんこ盛りでした(^^)
著者の言いたいこと(本質)を見抜く目を鍛えるのにも役立ちそうです。


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